名古屋地方裁判所 平成3年(わ)1015号 判決
判決主文
一 被告人有限会社味仙を罰金二〇〇〇万円に、被告人杉山淑子を懲役一年にそれぞれ処する。
二 被告人杉山淑子に対し、本裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。
(犯罪事実)
被告人有限会社味仙(以下被告会社という)は、前記本店所在地に本店を置いて中華料理店を経営する資本金五〇〇万円の有限会社であり、被告人杉山淑子(以下被告人という)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上除外などの方法により、所得の一部を秘匿したうえ、
第一 昭和六二年六月三日から昭和六三年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額は六三七〇万四八九八円であり、これに対する正規の法人税額は二五八七万五七〇〇円であったにもかかわらず、その申告期限である昭和六三年六月三〇日までに、名古屋市瑞穂区瑞穂町字西藤塚一番地の四所在の所轄昭和税務署の税務署長に対し、法人税確定申告書を提出しないで、右申告期限を徒過し、もって不正の行為により右事業年度における正規の法人税二五八七万五七〇〇円を免れた
第二 昭和六三年五月一日から平成元年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額は六〇三四万二八八六円であり、これに対する正規の法人税額は二四三八万三六〇〇円であったにもかかわらず、平成元年六月三〇日、前記昭和税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四八万八一〇八円であり、これに対する法人税額が一四万六四〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額二四二三万七二〇〇円を免れた
第三 平成元年五月一日から平成二年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額は七八二四万九四七一円であり、これに対する正規の法人税額は三〇四一万九二〇〇円であったにもかかわらず、平成二年七月二日、前記昭和税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一二二万〇五五二円であり、これに対する法人税額が三五万三四〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度における正規の法人税額と右申告税額との差額三〇〇六万五八〇〇円を免れた
ものである。
(法令の適用)
被告人の前記第一ないし第三の各所為はいずれも法人税法一五九条一項(被告会社については更に同法一六四条一項)に該当するところ、被告会社については情状により同法一五九条二項を適用し、被告人については所定刑中いずれも懲役刑を選択するが、以上は刑法四五条の前段の併合罪であるから、被告会社に対しては刑法四八条二項により合算した罰金額の範囲内で罰金二〇〇〇万円に処し、被告人に対しては、刑法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い前記第三の罪に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年に処し、情状により刑法二五条一項を適用して本裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予することとする。
〔求刑・被告会社に対し罰金二五〇〇万円、被告人に対し懲役一年〕
(量刑の事情)
本件犯行は被告人が三年間にわたり申告納税制度を悪用して合計八〇一七万余円にものぼる被告会社の法人税を巧妙に逋脱したというものであり、その逋脱税額が高額であるばかりか逋脱率も高く、本件犯行による刑事責任が重いことは明らかであるというべきであるが、他方、被告人は今回反省して、本件につき既に正規の本税は完納している(重加算税及び延滞税についても平成六年九月までに完納することになっている)うえ、今回税務処理を委任した樋口税理士の指導監督を受け今後は納税義務を厳守していく旨を誓約していること、樋口税理士も被告会社の税務処理に関し被告人を指導監督していく旨を誓約していることなど諸般の事情を考慮して量刑した。
裁判所書記官 河合茂春
(裁判官 松永眞明)